社会福祉法人 宗希福祉会 あゆみ未来こども園
〒895-2511 鹿児島県伊佐市大口里2602番地
tel:0995-22-5473
当園は来年度に創⽴40周年を迎える認可保育所です。伊佐の豊かな⾃然の中で地域の⼈々の暖かいご⽀援を受けながら、これまで順調な歩み(あゆみ)を続けてまいりました。この間⽇本の⼦育て環境は、社会の変化と共に⼤きく変わってきましたが、幼児教育・保育の⼿法は40年前も現在もあまり変わらないものでした。
ところが⽇本の幼児期の教育・保育に関わる制度・政策が、私があゆみで保育園の仕事に就いた年と同じ2015 年にスタートした⼦ども⼦育て⽀援新制度により⼤きく変わろうとしています。どうして変わる必要があるのでしょうか、そしてどのように変わろうとしているのでしょうか。本ページで考察してみたいとおもいます。在園児の保護者の皆様にとっては、ご自分のお子様が園でどのように過ごしているのか気になるところだと思います。日頃のお便り帳に加えて、写真により覗き見できるよう(フォト@ブログサイト)があります。こちらのサイトも是非ご訪問ください。
戦後日本の子育て事情について、昭和レトロ時代と呼ばれた昭和30年代とその後の年代を比較するとわかり易いと思います。
戦後の日本は昭和30年代に入ると、戦後に終わりを告げ、高度経済成長期に入りました。私はまさにこの時代の生まれで、世の中がどんどん新しいもの変わっていくのを見てきました。我が家にきた新三種の神器(冷蔵庫・洗濯機・白黒テレビ)の中でやはりテレビが来た日は記憶にあります。昭和30年代は、世の中が新しいものに変わっても、家族間や地域間の関係はまだ昔を残していました。夜はちゃぶ台を囲み、ご飯をたべながらの家族間の団らんがそこにはありました。その中に必ずおじいちゃんやおばちゃんがいたのです。地域との関係もまだ機能しており、助け合いの精神が残っていました。子供たちは一人で遊ぶことは少なく、徒党を組んで、時には年齢差を超えて、遊んでいました。
昭和30年代は、昭和レトロとして昭和を知らない核家族時代・少子化時代に生まれた現代の若者にも[懐かしい、郷愁を感じる時代]として人気があるようです。このことは、人間は戦争のない、明るい未来を予感させる社会を望むことは当然としてもすべての人間は「人間同士相互の関わりがある社会」の中にいることを望んでいるのではないかと思います。映画ALWAYS三丁目の夕日 に出てくる下町の人間関係とかテレビ アニメのサザエさんのような家庭をだれしもが望んでいるのではないのでしょうか。
経済成長と共に地方の若者は仕事を求めて田舎を離れるようになりました。 中には中卒・高卒の子供たちが「金の卵」として集団就職することもありました。都会に出た若者は、やがてそこで結婚し家族を持つようになると、核家族化が始まりました。しかし世の中は変わり、家族を支えるはずのお父さんは、経済大国となった日本経済をささえる企業戦士として長時間労働を強いられ、家庭や育児は殆どお母さんに其の責任を負わせました。近所に相談できる育児経験者がいる間はいいですが、地域コミュニティが崩壊し、相談者もいなくなってくると、母子は孤立化し、育児不安やストレスが増し、離婚や貧困、虐待といった家庭崩壊につながってしまいます。
バブルが弾けたあとの日本は不況にあえぐことになりました。未だ改善しない男女不平等社会は女性の就労を困難でかつ低賃金なものにし、かつて1億総中流時代という言葉が流行りましたが、今や日本の子供の7人に1人(相対的貧困率13.9% 2017)が貧困状態にあり、先進国の中でも貧困率の高い国として知られています。また不況下では夫婦共働きが増えますから幼稚園より保育園への入所者が増えるわけですが、いつしか順番待ちしないと保育園に入れないよという「待機児童問題」が発⽣しました。このような保育に関するサマザマな矛盾が社会問題として⼈々の知るところとなるきっかけとなったのが平成28年3⽉の匿名ブログ「保育園落ちた。⽇本死ね!」だったわけです。
日本の子育て関連の予算規模は先進国平均の半分にとどまっており、男性の家事参加率や育児参加率は世界でも最低クラスです。今日本での子育てが世界で最も難しいと言われています。その背景には、①経済優先・高齢者優先の政治政策、②男子優先・集団の秩序優先の社会、に加えて③保育所や幼稚園の子育てに関する理解不足、職業意識の低さといったものが背景にあると考えています。。
今幼児教育がトレンドになっています。それはOECD 諸国が2001年にまとめた報告書Starting strong(⼈⽣の始まりこそ⼒強く)の中に幼児教育・保育に関するエビデンスが報告されたことが引き⾦になっているようです。OECD 諸国はこのエビデンスに基づき幼児教育・保育を国の優先課題として取り組んでいます。
OECD諸国に遅れをとりながらも、日本はStaring strong3(2012年)で部分的に参加をはじめ、2015年の子育て支援新制度、2018年の幼児教育3施設の指針・要領の同時改定と続き、そして2019年に幼児教育の無償化がスタートしました。同時に働き方改革の一部が施行されましたので、やがて世界で最も子育てのしやすい国となることを期待します。
今の子供たちは自分で考え自分で行動することができない子、すなわち主体性のない子が多いといわれています。このような子供は、「今自分は何をすべき時なのか」がわかりません。その典型的な例が小1プロブレムに見られる子供の行動です。また日米中韓の子供(17歳以下)を対象としたアンケート調でも「自分に自信がない」と答えた子供は、日本が7割を超え、ついて韓国5割台、中米告(5割以下)という結果でした。
一方幼児期に主体性を重視した教育・保育を行うことで、自尊心(自己肯定感)が育まれます。自尊心の高い子供は、次のような行動をとることができます。
★ 失敗よりも成功をイメージした前向きなチャレンジ
★ 壁にぶつかってもそれにたち向かう
★ 自分自身を大切に思うと同時に他人からも愛されていると思える
★ 他人と積極的に関わり、良好な関係を築ける
これまで⽇本の幼児教育・保育は、時代の変化に伴って⼦供を取り巻く環境が変わってもほとんどその⼿法を変えずに来たと思います。その⼿法とは保育園で⾔えば、保育⼠主導の集団保育型と⾔っていいもので、管理的であり、先⽣の⾔うことをよく聞き、⾏儀の良い、かしこい⼦を育てることが良い保育でした。しかしながらここで育つ⼈間は、往々にして受動的な性格を持つため、保育士主導では自己肯定感は育ちにくいものです。
これからの乳幼児に必要な教育・保育は子供が主体とる教育・保育です。
現代のようにグローバルな世界では、各国や各施設が⽬指す幼児教育・保育の⽅向性は⼤きく変わるものではありませんが、その⼿法はそれぞれ異なります。
あゆみ未来こども園が⽬指す保育を理念、⽅針、および⽬標として次に⽰します。
保育とは養護と教育が一体的に行われるものであり、この理念においては、
赤と青の下線部に相当する文がそれぞれ養護的側面と教育的側面に相当する。
あゆみ未来こども園は、前述の理念・⽅針の基に、保育⽬標を達成するにあたり、保育の内容が組織的・計画的に構成され、かつ総合的に転換されるよう、次に掲げる4つの基本姿勢に保育を実践していきます。
1)子ども主体の保育実践(養護の重要性) | 2)環境を通した保育実践(遊びの重要性) |
3)学び合い・学び続ける保育実践(保育の質の向上) | 4)団体活動・競技から学ぶ保育実践 |
現在当園が取り組んでいる団体活動と団体競技を以下の表にまとめています。